2024/10/15 18:11

今年(2024年)7月の極暑の中、半病人状態だった私は、娘に付き添われてこの新居に移り

ました。ささやかな三階建てのマンションの3階の角部屋。そこには四つの窓があります。

私の部屋の窓は大きく、一日中燦燦と太陽が入り、涼やかな風が通り抜けます。この夏の猛暑にも

殆んど冷房のお世話にはなりませんでした。朝早くから小鳥たちが囀り、飛び交っています。

大きなガラス窓の前には、数本の大樹が並びたち、その深緑の樹間を、真青の空に白い雲が浮かび

悠々と流れているのを眺めながら、私はいつも時のたつのを忘れます。

 

隣に出窓があります。そこからみる景色のまるで洋画をみるような建物の感覚。それでいてとても

なつかしい。私が景色にみとれていると、娘が額にいれた一服の洋画をもってきました。「ああいい

絵ね」と思わず言うと「これ思い出があるのよ」と話しだしました。昔、ライブの帰りに皆でタクシー

を2台予約したそうです。あとの車に自分は乗った。運転手さんが楽器を持つわたしをみて、実は

自分も本当は音楽をやりたいと思ってアメリカへ行った。けれど芽が出なくて諦めて帰ってきて結局

こんな運転手をしている。でもこうして音楽で会えたのも一期一会です。アメリカで集めたいい絵が

あります。よかったら見てください。と言って車を止めて出してきた絵の中からいただいてきたの。

前の車に乗っていたらこんなことはなかったと思う…と。私はまるでドラマのようだと思いました。

窓辺に置くと景色にマッチして素敵です。


私の部屋の隣にほんの小さい図書室めいたものをつくりました。小さい図書室の本に囲まれて読書

するのが私の夢よ。そんなことをいつか私が言ったらしく、娘が実現してくれました。こちらに移

転したのち、二人分であまり本が多くて、到頭15個ほどの段ボールにつめた本は、業者さんに引

き取ってもらいました。だからごく小さな図書室です。実はそこの窓からみる夜景を私は絶景だと

思ています。小さい窓ですが、特に夕刻、高台の家の灯が、一軒ずつともされていく様子。胸が熱

くなるようです。

 

食事のスペースにも出窓があります。ごく足元に朝顔や、ヒガンバナのような可愛い花が一杯。

近くの地主さんが大切に咲かせられた花さんたちを楽しませて頂いています。

その窓に、娘が純白で織りの深いカーテンをさげました。私は思わずバンザイと声をあげました。

特に夕方カーテンを閉めると、いつかみた外国映画のような雰囲気。傍の食卓に果物を載せて真似

したりして。ここは夜が待ち遠しいです。

 

私はこうした四つの窓を、そして四つの景色を、しあわせの源泉として、とても大切に感じます。

 2024年10月15日