2023/11/23 16:44
あたたかくしあわせな介護制度をと祈ります
少しづつ身の回りの整理をしているとき一冊のアルバムをみつけました。
なにげなく開いてみると、亡き夫の認知症在宅介護でお世話になったディサービスの通信連絡帖でした。
日常の生活がこまごまと写真に撮ってあって、ちょっとした会話も添えてあります。
やがて10年にもなる昔の思い出がじっくりと詰まっていて思わずあたたかい涙にむせびました。
週に2回のディサービスを夫はとても楽しみにしていました。アルバムを見ていると、どんなに心のこもったサービスであったか今更ながら胸に浸みます。楽しいお昼ご飯の様子。時々夫は笑いながら大きな口をあけて食べさせ頂いたりして。職員さんと患者さんたちが一緒になって作ったおやつ。とてもおいしそう。お昼寝。ゲーム。車椅子での散歩はことのほか皆さん嬉しそうです。そんな様々な表情が写真で見られます。介護で疲れていた私の気がつかなかった表情が。夫は病んだ中にも楽しさや喜びを最大限に発揮している表情でしょうか。排便や体調なども詳しく書かれています。
特にお誕生日会の様子は胸にしみわたります。職員さん方の手作りのケーキに添えられたたくさんの寄せ書き。『Kさんの優しく穏やかないつもの笑顔を見ると、自分の心が癒されます。Kさんありがとう。またずっとこのディサービスで一緒に楽しく遊びましょうね。Kさん大好き。』そんなことばがどの寄せ書きにもありました。
そういえば以前夫が大学病院に1か月入院したときに、担当の女医先生から『いつも穏やかなKさんの笑顔をみると心がやすらぎます。看護師たちの人気の的なのですよ』というお言葉をきいてびっくりしたことがありました。普段はそんなに深く考えなかった夫の素顔をあらためて知らされました。反面病院や介護関係のお仕事が、どんなに気力、体力を費消されるものか、疲労された女医先生のお顔をみて垣間見たおもいでした。
5年間の在宅介護は苦しい気持ちもありました。しかし素晴らしいデイサービス、そして訪問介護のヘルパーさんたちとの心の交流は私の一生では宝であったと思えます。もしかしたら夫は在宅介護の一番よき時代に巡り合ったのかもしれません。あれから10年。長いのか短いのか考える間もなく、激動の中に投げ出された現代です。何もできない私はただただ、あたたかくしあわせな介護制度をと祈るばかりです………。
2023年11月23日