2023/11/13 09:49

乗り越えるしかない

国会が始まって俄かに騒々しくなりました。経済! けいざい! ケイザイ!  減税だ 増税だ 給付だ などなど。この国の困難さがまるで浮き彫りになったかのよう。

そのほとんどが政府の財政難にあるようです。いままで国会議員の誰一人として積極的に発信することもなかった財源論です。やっとというか、到頭というか、財政難というものの本当の感触に触れたということでしょうか。

 

『日銀は政府の下請けです。政府が依頼すれば、必要なだけ国債を引き受けてくれます。財源は無限だから心配はありません』と公然と言い放って政治を引っ張ってこられた安倍元首相でした。アベノミスク、その検証をすることもなく放置したまま、与野党の議員さん方、俄かに変身して財源論者になられたようですね。現在岸田首相は四方八方から攻撃されているようですが、もちろん岸田現首相だけの責任ではないと私は思います。過去の政権を荷なった方々も含めて国会議員の責任は当然ですし、何の発言もない専門家、識者方、あまりにも無関心だった国民も無罪といえるのでしょうか………。

 

思えば自分を振り返った時、あまりにも長い間『複式簿記』『会計』『財政健全化』というテーマのために四苦八苦してきたことに自分ながら呆れています。何回も法人・個人の会計についての解説をブログに掲載しました。財務省や財務大臣に、国の財政管理に複式簿記を採用してと進言書も提出しました。会計ソフトプログラムを開発して、そのマニュアルは毎回ブログ上で公開しました。プログラム添付の書籍の出版もしました。微力ながら自分に叶う限りのことをしてきました。しかし複式簿記や会計など知らなくても、入力さえすればすべてオーケイというソフトがある。などという逆風の中で、さすがに私も諦め打ち切ることを決心しました。これからの旅路の支度にとりかかりはじめました。そうした最中、まさに今日の国会の状態が、私の『財政の健全化』論で一番怖れた結論と全く同じ状態になっていることを発見することになりました。生涯のテーマが、結論的に間違っていなかったことの心からの安心と、これからのこの国の苦難を思う暗澹とした思いが交錯して複雑です。

そんな私に心残りといえば、安倍政権が心惹かれたであろうMMTを唱える声はその後どうなっているのだろうかということです。前黒田日銀総裁時代の副総裁がMMT理論を日本の国会の場で推奨された場面が思い出されるのですが………

 

しかしこれも大いなる偶然でしょうか

私の机の上に1冊の本がのっていました。ヌリエル・ルービニーという方とステーブン・ミームという方の共著になる201091日出版の『大いなる不安定』という経済書です。ほんとうにたまたまですが、その本の第七章に『財政収支の増額と減税』というテーマがあり何気なくひらくと現在の我が国の様相をあまりにも言い当てたものなのです。そっくりの内容です。『………政府債務残高が増えればいずれ、政府は身動きがとれなくなる…… 政府債務が国内通貨建てなら紙幣を増刷して赤字を埋めるというごまかしの方法が使えるが……納税者がこのリスクを十分に考えている可能性を示す証拠もある………消費者は政府がいずれ増税に踏み切るしかないことを承知している……消費者は支出を削減する…… 』13年も前に今日の日本を見透かされたようなドキリとすることも明確に書いてあります。

 

ですが私はこの本からもう一つの側面を捉えました。過去から現在を通してアメリカをはじめとして、世界のいたるところで金融不安というものがいかに多いかを知りました。そしてその苦難を正しく乗り越えて現在成長している国もたくさんあること。

失敗した国もまたあること。それを知りました。

たしかにテレビなどで知る限り日本の変化も少しづつ感じるようになりました。若者たちの自己発信力、日本の技術力の新発見……職人さん方の腕の素晴らしさと意志の強さなどなど。希望も仄かに見えているような気がします。心から願います。どうか政治は現在の危機を正しく乗り越えてください。岸田首相はたとえ半年でも、ひたすら国民のための政治に徹してみてください。支持率や派閥や国民への迎合、自分の保身などから脱した時に支持率は上がってくるのではないでしょうか。己を捨てることから。

私も悲観や絶望するだけではなく、そうした新しい日本を少し覗いてから旅立つのも

いいかなあと思い始めました。        20231113