2023/10/23 16:59

秋雨降りしきる学徒出陣式  秋の雨をみていると目に浮かぶ光景があります。

蕭条と降りしきる雨の中、学徒出陣の壮行会のテレビ画面。軍服に身を固めた学徒たちの雄々しい行進です。

みんな20歳から21歳位のきのうまでは青春の夢を抱いた学生たち。

たまたま1021日の新聞の天声人語にこういう記事がありました。

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東大生でいられたのは実質2か月だけだった。1943年学徒出陣の知らせに20歳の松岡欣平さんは、深い葛藤を記す。

人間は何をなすべきなのか。自分は何をすべきなのか。自分は命が惜しいのか。死とはなにかー。

松岡さんは入営前に映画無法松の一生をみた。主人公が祇園太鼓を雄雄しく叩く。その映画で故郷の祭りがよみがえった。

短い人生を振り返り、

『俺は気が狂いそうだ。俺は太鼓を打ってみたい。(略)世はまさに闇だ。戦争に何の倫理があるのだ』1年後彼は戦死した。

(以上記事より)

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はっきりしたことはわかりませんが10万人ともいわれる学生たちが動員されたとか聞きます。その中で還らぬ御霊はどれほどだったのでしょうか。音楽に、哲学に、文学に、芸術に、科学者として、教師として、お医者さまとして、まだまだ数えきれない分野で光を放ったであろう学徒たち。その無念さはいかばかりだつたでしょうか。私は学徒出陣式の映像を思う度に、ああここで日本の知性は終わったのだという思いがどうしても沸き上がってしまうのです。言葉に言い表せない喪失感と悲哀と無念です。20231023