2023/09/04 17:59
経済学はもっと身近にあってほしい
8月7日私はこのブログに『日本経済の新しい見方』を読んで”という記事を載せました。その中で『日本経済の不振の原因は一にかかってデフレにあること。……日本のデフレは支出過剰にあるのではなく、財政収入の不足にある』ということばに刮目されました。そしてこのアドバイスは政府にとっては大きな参考になることだろうと喜びました。重ねて池田勇人政権の『所得倍増論』を思い浮かべ、まず政治と国民の厚い信頼関係。多くの人が関わる政治。国民と政治が本当に願う夢と希望のもてる大きい政策。首相の揺るぎない発信力。そうしたらきっとこの苦しいデフレだって脱却できるだろう。道はひらけるだろうとまるで自分のことのようにウキウキと喜んだものでした。しかし我に返った時、現実はあまりにも程遠いもののようです。
今最大の懸案である原発処理水の海洋放流問題。それだけでも今後35年間にもわたり、莫大な財源が必要とされます。国民が喘いでいる高物価鷹対策。降って湧いたような防衛費の大増額。多発自然災害などへの対応。少子化対策費。教育の劣化に対して。ウクライナへの支援。AI問題への対策費。マイナンバー処理費。ざっとみただけで日本の生産性が、急上昇して現在の数倍にならなくては、とても支えられるものではないことは国民の目にも明らか。誰もが不安に思うのではないでしょうか。だからこそ、我が国の財政に対して、現状を把握し、将来への対処を考えるのは緊急の課題ではないかと考えるのですが。いま日本の経済はまさに混沌としています。長く会計を通して経済の一端をみてきた私にも結論はどうなのか、掴めません。
具体的には森永卓郎さんが書かれた『ザイム真理教』という書籍の中の、財政均衡主義はまちがっているという意見。片や財務省が固執する財政均衡主義。そのどちらがほんとうに正しいのか。そして日本は今後、どのような進み方をとっていくのか。こんなことがわかりたいと思うのです。
日本はMMT主張を正式に取り入れてこそいないけれど、アベノミスクによって、実質的にはかなり深くのめり込んでいると思います。いわば混沌とした状態。と言うほかないようにみえます。アベノミスクについての評価や検討がなされていないので、現実は今もそのままだらだらと莫大な負債が積み重なっていくばかりなのでしょう。その結果は現実をみれば、デフレどころか厳しいインフレ物価高、国民を苦しめていることに、政府も苦しんでいるようにみえます。安倍政権の時代は、何の苦労もなく政府は日銀に国債を引き受けて貰って、膨大な財源を生み出していました。でも現在それができにくいのは、これ以上負債を増やせば、日本が債務超過国になりかねないからではないかと私には思えます。だからこれ以上円安にならないように日々市場に捉われ、国民に物価高支援をし、円安防止の市場介入やらをして、苦しいやりくりに私は胸が痛みます。根本的な経済対策をしたいのはやまやまであっても、それが叶わぬ現状が日本経済の結果となってしまったようです。もしかしたら日本政府がはじめて生の資金繰りに苦しんでいるのではないかと思います。増税はしないと言っているけれど、果たして乗り切れるか?
私は本当に不思議におもうのです。経済学はもっと政治を助けられないのだろうかと。
もっと普通に政治に助言をして、たとえばMMTに傾倒し過ぎれば結果はこうなるときちんとアドバイスしたりできないのだろうかと。
日本経済の不振の原因は一にかかってデフレにあること。……日本のデフレは支出過剰にあるのではなく、財政収入の不足にある』こと。それを克服するには、まず政治と国民の厚い信頼関係の構築が必要。多くの人がかかわる政治。国民と政治が共に願う夢と希望を一つにすること。首相の揺るぎない発信力。そうした時はじめてデフレからの脱却、よい意味のインフレへの出口が見つかるだろうと痛切に思うのですが。国民のお金も動きまわるだろうと。
原因も解決の手段も一番わかっているのは経済学だと考えるのですが。とにかく経済学は難しい。様々な経済科学方程式のようなものは大切であり、尊重されるべきものということは十分わかっています。けれど読めば読むほどむずかしくなって根本を見失いそうになります。もちろん私の無学故ではありまが。
でも私は『日本経済の新しい見方』の第8章に書いてあった『……現状の緩和型の金融政策に、拡大型の財政政策をあわせるというポリシーミックスの考え方を前面に出してこそ、マクロ政策の効果を期待できるのであり、中央銀行の独立制はデフレからの脱却をはかる経済にとっては役にたたないと思います』
という箇所は納得できます。せめてそこに辿り着くまで、経済学の助けを得られたらと私は心から願うものです。 2023年09月04日