2023/08/07 17:58

『日本経済の新しい見方』を読んで

思えば去年の秋以来随分たくさんの本を読みました。チボー家の人々13巻読破後は、『財政赤字の神話』ステファニー・ケルトンから始まって少なくとも7冊の経済誌関係を読み漁ったというか、読み耽りました。自分でも不思議なほど、次から次と巡り合ったり、導かれたり。そして自分の視野の狭さや、浅さ、疑問、未解決に苛立ったり、複雑な経済という問題に翻弄されながら、いつも国の財政に不安を募らせながらでした。

その中で異色だったのは『危機の宰相』という沢木耕太郎さんの著書で、不遇の大蔵官僚であった池田勇人氏が内閣総理大臣に昇りつめ、国民と共に『所得倍増論』を押し進めながら4年間の執政で亡くなられるまでが書かれていました。私はこのブログに『華の時代もありました』というテーマで早速2023721日付投稿しました。燃えるようだった自分の気持ちを忘れられません。そして今『日本経済の新しい見方』という会田卓司氏、榊原可人氏共著を拝見しています。困難な経済学を多くの人に理解させようと努力されているのがよくわかり、私にも勉強になるところが多く感謝しています。まだ完読途中ですが非常にショックを受けたことがあります。私がショックをうけたことは次の内容です。『日本経済の不振の原因は一にかかってデフレにあること。デフレの原因が財政の過剰支出であると捉えているのは間違いであること。日本は外国に比べて特別に財政過剰であるわけではない。日本のデフレは支出過剰にあるのではなく、財政収入の不足にある。財政健全化のために財政支出を抑える意見がある限りデフレ回復は難しい』私は本当にショックをうけました。そして考えました。私本来の立場からいうならば、企業会計複式簿記の損益計算書で、借方の原価や経費に問題があるのではなく、顧みられなかった貸方の売上・収入金額に問題があったのだ。まことに新しい提言であり納得しました。そう思って刮目させられたのは私ばかりでなくきっと多くの方がそうだと思います。

一番先に目に浮かんだのは、民主党政権時代、歳出を検討すれば財源はどれだけでも出るといって、はなばなしく歳出カット検討会なるものがあったけれど結果はあまり何も出なかったということでした。けれどあの頃も今も、財源不均衡は歳出の過剰だとは多くの人が信じて疑っていないと思います。今の日本の出口の見えない混迷時代に、この提言がどんなに大きなヒントになるでしょう。早く公開したくて、完読途中ながら書かずにはいられませんでした。お二人の著者様に厚くお礼を申しあげます。

では具体的にはどう考えればいいのだろうか。私はその時池田勇人政権の『所得倍増論』を思い浮かべました。あそこにはまさにモデルになりヒントになるものが溢れているのではないかと。

  まず政治と国民の厚い信頼関係。多くの人がかかわる政治。国民と政治が本当に願う夢と希望のもてるたった一つの偉大な政策。そして首相の揺るぎない発信力。

そうしたら国民のお金はきっともっともっと自然に活発に動き出すに違いありません。

 

最後に私は経済学者の方にお願いしたいのです。経済はとても各層のものを包含して複雑のようです。だから国民にはわかりにくいです。なんとかその中にもう少し、人間の感情や振舞などがどういう形かで取り入れられないものでしょうか。新々日本経済の見方として。 みんなでもう一度日本を取り戻したいと願ってやみません。

 20230807