2023/07/14 17:41
自分の発信し続けた意見の結果について考えます。
私が最初に日本の財政に関心をもったのは、30数年前だったか、日曜の朝の某テレビ局の座談会番組だったと記憶しています。何気なくみていると、当時の大蔵省の人から突然『国民の皆さんは国の借金が500兆円もあるのをご存じだろか』というようなことを聞かれたというゲストの女性が『知っているわけがないでしょう。何も教えてくれないのですもの。もうそろそろ公表しないと危ないとでも思ったのか』と憤懣の声を漏らした場面がありました。
その時私は始めて『へえ、国は500兆円も借金があるのか。凄いなあ』と強烈に思ったことを覚えています。そうするとそれから現在までたった30数年。みるみるうちに日本は1300兆円の債務を抱える現状になったわけです。
それから私の後半生をかけてきた財政健全化行動がはじまります。まず複式簿記の紹介。経済の基盤は会計にあり。会計の基礎は複式簿記にあり。その論旨で複式簿記会計の紹介に多くの時間をとりました。複式簿記会計のトータル性、科学的信頼性を立証するために『桐』という日本の中小企業が開発したリレーショナルデータベストソフトを使い、中小会社向き、個人事業者向きの会計プログラムを開発しました。財務大臣に、国や地方公共団体の財政運営に、複式簿記会計の導入も進言しました。何の反応も得られませんでしたが、元東京都知事の石原慎太郎氏は東京都の財政は複式簿記で運営するという意思表明をされたそうです。
その後どうなっているのでしょうか。しかし時代は複式簿記などなにも知らなくとも、コンピュータに入力するだけで万事OKという、会計理論など軽視の方向に流れていました。私は会計一辺倒に陥っていた自分の視野の狭さを反省し、遅まきながら金融、貨幣論、財政論などを猛烈に読み耽りながら、やはりそれら全般を含めたものが経済であり、その基本は、会計であり、複式簿記であることを自分で再確認しました。
特にこの10年間は国の財政は悪化の一途をたどりました。そこにMMT理論なるものか声高になりました。2020年10月15日に初版発行になった『財政赤字の神話〈MMTと国民のための経済の誕生〉』ステファニー・ケルトン著 という本を知り、読み始めたのは2023年1月でした。ここから私はMMT理論と向き合うことになります。MMTは『政府の借金はインフレをもたらさない限り問題にはならない』と言っているので、逆に言えば『インフレになったら大問題だ』と言っているわけです。まさにデフレ脱却に悩んでいた日本を最高のモデルとして勧めていたように私には思えます。それは過大債務に悩んでいた政府にとっては甘い蜜の囁きだったに違いありません。当時の安倍首相は、公然と『日銀は政府の下請けで政府が頼べば幾らでも国債を買ってくれる。金のことは心配しないでやりたい政策をどんどんやってほしい』と公言されました。また日銀の副総裁は国会の場で『日銀は資金の製造所です』と発言して日本維新の会議員から『まやかし』と反論された場面が放映されてしまいました。結局政府日銀ともにMMTが警告を発していたリスクには目もくれず、安易についたわけでしょう。すでにそのときMMTの考えていた段階を超えた超過債務に近い状況に陥っていたのではないでしょうか。そればかりか国会議員のすべてが財源については蓋をしてしまっていたようでした。誰一人『財源は』という議論がなくそれは私にとっての驚きと政治への絶望でした。まるで国会議員全体の思考力停止のように思えました。突如として猛烈なインフレが襲ってきました。
この猛烈なインフレはもちろん日本だけではありません。しかし世界の国々はそれなりに中央銀行の金利調整や政府の努力でインフレを抑えていきつつあります。
日本だけはいつも世界と反対の方向をとっていて、世界から不可思議の目を向けられています。昨日「東京がスの電気料金等の見直しについて」という通知が届きました。2023年10月検診分の電気料金はより新しい料金を適用致します。とありました。いつもはそんな通知書はあまり気にしないのですが、今度ばかりはきちんと内容を検査してみようと思います。国民はずいぶん物価高に苦労しています。また魔の予告でがっくりでしょう。国はどうでしょう。私はこのブログを書きながら本当にきびしいところにきたと思います。今迄平気で国の借金をふやしてきたのだから、他国並みに金利をほんの少しでもあげれば物価も少しは下がる筈。政府もそんなことはわかっている筈です。でもそれができない。なぜでしょうか。金利が上がった分国の債務がふえると、日本は既に債務超過国家になってしまうのではないか。たしかな財務諸表的なものがないから確たることはわかりませんが。たとえ債務超過になっても、日銀がお札をどんどんすれば倒産などはないでしょう。それはMMTが言う通りです。けれど何ものにも代えがたい、世界に対する日本の信用は、一挙にがた落ちになります。
電気料値上げに政府はたとえ支援をしたくても、それをすれば国の借金を増やさなくてはならない。まさにいたちごっこの行き詰りに陥った感じです。気のせいか、最近『財源』『財源はどうするか』という言葉をきくようです。幸いなことに税収の見通しは大きいとか。しかし政府は少し余裕がつけばすぐ使うことを考える。財政を少しづつでも立て直す意思がなければ、いつまでもこんな苦しいことの繰り返しならざるを得ないと思います。
最後に、報われない逆流の中での自分の足どりを考えるとき、自分で突き詰めて、自分で答えを出し続けてきた自分の努力と、ブログへの投稿には矛盾がなく、よかったと思っています。
2023年07月14日