2023/05/30 00:52

このいさぎよさ

間接的なお友達ですが、知り合ってからの年月は長く、逢うことは生涯数回あればいい方と思うくらい。なのに不思議に心は温かくつながっているような女性がいます。Kさん。最近様子を耳にすることができました。彼女はここ5年間まったく働いていないこと。食事はすべて買ってくるお弁当で済ませている。家には包丁すらないとか。週に一度は映画をみにいくのがきまり。そのほかは殆んど家にいるらしい。でも別に引きこもりの様子ではなく、古くからの友人からさそわれればあたりまえのように出かけていく。あとはとにかくテレビなど家で暮らすそんな生活が幸せだと言っている。働くのは嫌だ。働くためにこの生活を変えようとは思わない。そう言っているそうです。その彼女も今年は還暦となりました。その古い友人の一人が、私の次女なのです。他の友人とともに彼女の還暦祝いをした席で彼女の気持ちをはっきりと聞いたそうです。「私はみんなが考えているような親や兄弟の遺産などで暮らせるそんな身分ではないの。いままで貯金を取り崩しながらやってきたところ。お金は全くない。普通の人なら気が狂いそうになるかしれない。でも私はいつも何とかなると思ってきた。ただ働くのは嫌なの。食べ物だってほんの少しあればいいし。働いて今の生活を崩そうとは思わない。だってこれがたのしいのだもの」

私はつくづく思いました。なんといさぎよい人だろう。私もそうできたらどんなに心がかるく、伸びのびとなることだろうかと。でもこんな話もありました。Kさんはご両親の残された田舎のおうちをそのまま空き家にして、時々太陽や風を通しに帰っている。自分は安くない家賃を払って東京で暮らしている。これって大きい矛盾というものなのか。

それとも人間の複雑性と愛しむべきものだろうか。 20235300529