2023/03/17 15:59
個人事業経理会計(5) 借方貸方仕訳の原則
ここはとても大切なところなのですが、考えすぎないで、私達の日常生活にしみこんでいる普通のことと理解しましょう。前回ふれたように、何かを得て、何かを失う、そんな二面性の整理です。簡単な例で考えてみましょう。
渇望していた車を買った。天にも昇る程嬉しい。という1面。そしてローンが残ったというもう一つの面。その二面性、つまり原因と結果を整理する。その手法を仕訳と考えてください。二面性を複式といいます。
上記の場合、車を購入した。それは資産の増加になります。
ローンを組んだ。それは負債の増加になります。
この場合の仕訳は次のようになります。金額は1,000,000円とします。
【借方】 車両運搬具 1,000,000 【貸方】 借入金
借方と貸方は同額ですから、金額は一回書けばいいわけですね。
ではなぜ【借方】に車両運搬具を、【貸方】に借入金を記入したのか、と問われたら複式簿記の仕訳の原則に従ったとお答えします。
複式簿記仕訳の原則とは
【借方】 [貸方]
1.資産の増加 1.資産の減少
2.負債の減少 2.負債の増加
3.利益の減少 3.利益の増加
4.損失の増加 4.損失の減少
となっています。複式簿記の基本原則は、たったこの4つしかありません。実はこの4つの原則だけは、頑張って丸暗記して頂きたい。もし仕訳に迷ったときも、4原則が頭に叩き込まれてあれば、必ず自力で脱出することができます。
この4原則は横同士と、斜め同士の組み合わせをします。縦同士の組み合わせは絶対にありません。その結果16仕訳となり、それ以外の取引は発生しません。
具体的な詳細は、実務に入ってからの勉強になりますが、今日のところでは、イメージだけでも掴んでいただくように、数題簡単な仕訳例を書いておきましょう。
➀資産の増加と資産の減少の仕訳例
【借方】受取手形 【貸方】売掛金
売掛金の回収に受取手形を受領しました。
➁資産の増加と負債の増加の仕訳例
【借方】機械及び装置 【貸方】借入金
新規機械購入のため銀行から借金をしました。
➂資産の増加と利益の増加の仕訳例
【借方】現金 【貸方】売上高
商品を現金で売りました。
④資産の増加と損失の減少の仕訳例
【借方】当座預金 【貸方】支払利息割引
入金を早期に返済したので、過払い利息が返還され当座預金に振り込まれました。
⑤負債の減少と資産の減少の仕訳例
【借方】借入金 【貸方】車両運搬具
古い車両を売却し借入金の返済にあてました。
⑥利益の減少と資産の減少の仕訳例
【借方】売上値引き返品 【貸方】売掛金
得意先からの売上返品がありました。
以上で簡単な前勉強は終わりました。日頃気になっておられることに触れることができたでしょうか。そして少しでも参考になったでしょうか。