2023/03/17 15:35

個人事業経理会計() 借方(かりかた) 貸方(かしかた)ってなに? 

古い過去に意味があったこの言葉も、現在では深い意味はありません。複式簿記が生まれた中世イタリアでは帳簿の左側に『私に義務を負うの』つまり『私からお金を借りている人』を、右側に『私が義務を負うもの』つまり『私にお金を貸してくれている人』をリスト・アップしていたといわれているそうです。

現在では言葉自体の特別な意味はないと考えましょう。左・右とか、ABとか、それでもいい筈です。長年の慣習でこうなっていると考えて踏襲(とうしゅう)しましょう。先ずは借方・貸方という言葉の呪縛から解放されましょう。それよりも実際的に複式簿記の現場で、長く引き継がれた借方・貸方の実際を徹底的に理解しましょう。(複式簿記の仕訳の原則で)


個人事業経理会計() 複式簿記と単式簿記のちがい

数十年前十年前こんなことがあったのを思い出しました。とても若い女性に、当時未熟ながら会計のプログラムを作って簿記を教えました。はじめてささやかな事業を始めたばかりの彼女が、一年間の収支をとてもまじめにパソコンに記録し、決算書を作り上げました。そのとき私は、丁寧に決算書の説明をしながら、こんな会話をしました。「あなたは一年間でこれだけの利益を稼いだのね。その結果パソコンを○○円で買って、銀行の残高がはじめより○○円増えた。その残りで生活したわけだけど、月割りすると月々大体○○円くらいの生活費かな。」そして「今言った私の説明に納得したかしら」すると彼女は飛びつくように、「はい。凄く納得しました。」そう言ったのです。

たったそれだけの話です。しかしそこには十分複式簿記の要素が備わっていました。

 1.すべての収支を継続して記録する。

 2.すべての収支を、得たもの、失ったもの、に分解して、二面性の複式簿記で記録する。

 3.結果として損益計算の額=財産計算の額となり損益計算金額が財産計算金額によって保証されている。以上が複式簿記の要件です。

 さて単式簿記とは? 例えば、売上台帳から売上金額の集計をし、仕入台帳から仕入金額の集計をし、期首、期末の在庫を調整し、現金出納帳などから経費を摘出して計算する。それらを組み合わせて損益計算書を作る。そんな方法でしょうか。

決して頭から否定するものではありません。企業の規模などによっては、それで十分事足りているところも多いでしょう。そういうことを念頭に置いて複式簿記と単式簿記の違いを浮き彫りにしたいのですが。実はそれはいっそ皆様にお任せしたいと思います。複式簿記の要件を参照に、さて単式簿記では??と頭をかしげる点を見つけましょう。