2023/03/11 11:21
レシピ
月日がたつのはなんと早いのでしょう。ベランダからみる小学校校庭の梅の木の花びらが、もうひらひらと舞い散っています。二時間程図書館で本を読んできました。集中力を必要とする本を読むときは、図書館は私にとって絶好の場所です。落ち着かないときや、不思議に気持ちが高揚している時にも、私にとっては魔法のような場所なのです。常連さんも結構いて高齢の男性方が、朝から新聞に読み耽っている様子もよく見られます。
帰ってからセットしておいたコーヒーメーカーにスイッチをいれながら、今日の午後
こそは、レシピの整理をしようと思いました。身辺整理は年のはじめから、今年の必須の実行項目にしていたのになかなか手につきません。気になるばかり。せめて来週の献立をたてる傍ら、小型の整理ダンスに『魚料理』『肉料理』『ご飯類』『その他お惣菜など』と分類して入れてあるレシピから必要のないものを処分しよう。これを身辺整理のきっかけにしようと意気込みました。そしてまず一番多い『その他お惣菜など』に手を突っ込んでみました。一時間程レシピの一枚一枚に目を奪われているうちに、私はぐったりして倒れそうになるほど疲れ果ててしまいました。あまりにもたくさんあったのです。料理の本から書きとったもの、新聞の料理記事から…、広告のレシピ…、そんないろいろのものから、おいしそうとか、食べたいなあ、と思うものを切り抜いて、空き箱などの台紙に一つ一つ糊で張り付けたのでしょう。大小さまざま雑多。そして自分で作って、食べた後の感想や、批評まで赤字で記入したものもあり。何回も使ったものは、紙面に油が浸みこんだり、薄汚れたり。根菜の煮物など同じ傾向のものには、『私はやっぱりこのお煮しめが一番すき』などの感想が入ったのも。
別途に分類してある肉料理や魚料理もきっとそうかしら。そう考えただけで、私はどっと疲れがあふれそうになって、とうとう又にしようと元にもどしてしまいました。
あちこちから引っ張りだして作った私のレシピ。どうしようもなく雑多なものばかりです。だけどその日廃棄しようと思ったのは、僅かに3枚でした。
私は今日ほど人生の奥深さというものを体感したことはありません。そして若い時のエネルギーということを。自分に対してのいとしさというものも。そうか今は簡単に、かんたんにと自分の体調に叶う料理、いえ料理ともいえないかもしれないものを選ぶけれど、それも許してもらえるか。だって若い時はこんなに一生懸命料理をしてたのだから。家族のためにも。いろいろな人のためにも。処分はまたもう少し先でしよう。
その夜かかってきた次女の電話に、このことを話しました。
次女はとても言葉少なに「片づけなくていいわよ」とだけ言いました。
2023年03月11日 川口 翠