2023/03/09 18:12

ゼロから考える

 しばらくブログをごぶさたしてしまいました。『天使のような……』という前回のテーマに、『『天使の笑顔』に一つの解があるように、世界の良識が目覚め、踏みとどまってくれることを、希望をもって信じ、明るく、積極的に、生きようとおもいます。』と書いてから、そのように努力していたけれど、不器用な私には、今回ばかりは、なかなかそうはいかないで、うつろな気持ちでいました。うつろな気持ちなどと書くけれど、私には初体験です。気を取り直していろいろとやってみました。図書館に行って本を珍しく三冊も借りてきて読み耽りました。その中の一冊はゼロから考える経済学とい本で、リーアン・アイスラーという女性が著者です。オーストリアのウイーンで生まれ、ナチスの迫害を逃れキューバに亡命し、のちに米国に移動。社会科学者、弁護士、社会活動家という活動をする方です。2009年の出版です。日本語訳で350頁の大作です。

 

またワッハッハッの天国日和というテーマでこのブログに書いた、親友Mさんの訪れもありました。いつに変わらぬ心のエネルギーの入れ替えをする時間も熱くあつくありました。

 

 たまたま私の誕生日が挟まれていましたが、娘たちの、思いがけない企みで、町の居酒屋での夕食という数時間はとてもいいものでした。娘たちは久しぶりに他愛ない姉妹のお喋りが尽きないようでした。難聴の私にはそんな話は殆んど聞き取れませんが、居酒屋の日本酒熱燗という最高の好みの中で、一人陶然と勝手に酔っていました。

 

そして生活の面では、2週間程前購入したトースターと、瞬間湯沸かしポットで、いかにしてよりシンプルな生活ができるかと、研究にうつつをぬかしているところです。

 

こんなにいろいろやってみるのに、やはり心から楽しむことはできませんでした。まるで方向を見失ったようで。つまりそんな気持ちを、うつろな心というのではないでしょうか。本当に書きたいと思う心の波が押し寄せてくることがなく、どうしたらいいのかしらと悩んでいたことを白状するほかありません。

 

 そして今朝、熱いコーヒー茶碗を片手に、沸き上がってきた思いがありました。『そうだ、この苦しみをこそ書こう。それ以外に何もない』。そうして何もかもそのままにして、私は机に向かっていました。結局私のうつろな気持ちは何だったのでしょうか。はっきり、正直に言えば、この国に希望をみつけることがどうしてもできなかったのです。

今、この国は、政治をはじめとして、経済、教育、科学、外交、育児、人権など殆んどすべてに於いて、その劣化を世界中にさらけだしています。ずっと長い間、この国が虚飾で覆い隠していた部分がはがされて、世界の人々もおどろいて見つめていることでしょう。

 

でもここまであからさまになったのは、むしろいいことではないか、中途半端でなく、ゼロになるまでそうした方がいいのではないかとさえ思うようになったのです。潔くさわやかに。それこそ立ち直りのチャンスではないかと。

 このままずるずるといけば、経済も行き詰まるでしょうし、政治もあまりにも荷重になりすぎると考えられます。必要なのは私達も本当を知ったうえで、一人一人がもっと自分自身で考える力をもち、生きることに関心を抱けば、それは希望というものに繋がるのではないでしょうか。

 せめてそういう議論が芽生えることを心の底から願うものです。

 

20230309日 川口 翠