2022/12/07 17:51
胸を刺すことば
さりげないこんな会話。次女が従姉と交わした会話を私に報告してくれました。
「おばちゃんに干し柿を送ったけれど、日時が指定できないので、その件連絡しておこうと
おもって電話したら、思いがけなくKお姉ちゃんが出たの。久しぶりにいろいろ話がでて楽
しかった。おばちゃんはおかあさんよりも一つ年上だけど、お母さんよりもずっとずっと耳
が遠くて大変らしい。Kお姉ちゃんはしょっちゅう車できているらしく、かなり大変そうで
来年引き取ることにしたって。おばちゃんは住み慣れたところから離れたくないらしいけど。
自分もあんまり大変だし。そう言っていた。そしてわたしに「Mちゃんもいろいろ大変ね」
そう言われちゃった。」屈託なくそう話してくれる彼女には深い思いがないことはわかり切
っています。
でも私にはぐさりと突き刺さった『大変でしょう』というねぎらいのことば。自分にも
とても意外なほど。
もしかしたら高齢者の多くがその言葉故に、無意識に孤独感におちいるのかもしれない。
はじめてそう思いました。誰も悪意をもっているのではない。むしろ世話をしている人へ
の賛辞でしょう。そしてこの孤独感だけは老人だけにしかわからない特別のものでしょう。
思わず若いころの自分を思いだしました。百歳で逝った祖母にたいして、そんな心使い
はどうだったか? ……いつものように涙があふれます。ごめんね、おばあちゃんと何度も
何度もお経のように口ずさみます。だって切ないおばあちゃんの気持ちがわからなかった
ものだから。
どんなに気張っても、体力、気力と衰える老いには、どんなに大きな大変が使われてい
ることだろう。大変に助けられていることだろう。でも仕方ない。できるだけ自分自身で
頑張って、あとは甘えてしまわなくては。そう思い直します。
2022年12月07日 川口 翠