2022/10/02 15:10
会計センス④
さりげなく失われるもの
スーパーでの買物には小さな楽しみがありました。売り場の方たちとの一口会話かな。
特にバイトの奥様達との。まずお目当ての方がいらっしゃるかと目で探したりします。
『あら、いらっしゃいませ』、『お久しぶりですね』、『お顔がちょっとみえなかった
ので、で心配していましたよ』、『いつまでも熱いですねえ』、『この卵、ひびが入っ
ているみたい。かえましょうね』。なんでもない会話も、家庭の主婦の実(じつ)の詰っ
た対応は嬉しいものです。ちょっとした会話で十分なのです。なかなか男性ではそうは
いかないのですが。
コロナ禍の少し前、私の行くスーパーは大規模な模様替えがあって新型のレジ台が設置
されました。以前はレジ台で対面になったとき、そんな一口お喋りができました。
新レジ台では、レジ係の人と、客との間隔が微妙に遠くなったようで、また作業手順の
スピード感で一口会話の機会は奪われたように感じます。ほんの僅かのことですが、
『ああこれも効率化のためか』と私は淋しさを感じます。
効率性を得て、気が付かないうちに失われるもの。時には考えさせられます。それは、
『ささやかで、さりげないものだけれど人にとって潤滑油のような柔らかく大切な部分』
ではないだろうかと思うのです。
数日前、新聞だったかテレビだったか『昆虫食ビジネス』ということばを初めて知り
ました。内容はいろいろ述べてありましたが、私は思わず目をそむけました。これ程
気候変動で苦しみながら、もっと自然に対峙していこうと思うのかと信じられない。
私には科学的にはわからないけれど、昆虫はこの地球の自然界でそれなりの役目を果
たしていると直感的に思われます。これ以上自然と競争することはやめたいものです。
2022年10月2日 川口 翠