2022/10/01 11:33

会計センス➂

しらが(白髪)

2022101日。今日から新しい月になりました。気持ちを切り替えて。しばらく

『会計センス』というテーマで書いていこうかな。毎日ほんのちょっとした新しい発見

がある自分が嬉しいから。そんな自分が楽しい。くだらないことでもけっこう楽しい。

美空ひばりさんが『日々新しく』と言っておられたのは、こんなことかもしれません。

だからいつも人の胸に浸みるような歌があったのではないかしら。そう思うのです。

 

80歳台になった或日、私は行きつけの美容院で美容師さんとこんな会話をしました。

「先生、私白髪染めをやめようかと思うの」私のカットの手をとめた美容師さんの驚く

顔が鏡に映ります。「えっ、どうして急に?」「もし私が病気か怪我で入院したらここ

にこられなくなる。そしたら病院で白黒のすごい髪になって……。それは困るわねえ」

「わかりました。思い切って今日から白髪染めはやめましょう」「え?、 今日から?

「気がかわらないうちに」。そんな荒っぽい問答で即決してしまって。その後1年間

は多くの皆さんが経験なさる悩みの明け暮れでした。家の中で被ったままでも人様に

失礼にならない帽子を探しに、デパートに走ったりもしました。やがて野生に戻った

ような毛髪は、手軽な養毛剤と、こまめな私のマッサージですくすくと元気になりま

した。身体のすべてが老化による自然な退化の中で、唯一ご褒美のように整っていく

頭髪。夢のようです。

 

昨日は久しぶりにバスで出かけたり、帰りに1週間分の買い出しをしたり、私として

は激務になりました。夕方入浴の後、ぐったりで寝込んだままでしたが、手入れも

しないままの洗い髪は今朝、私の一番自然なスタイルで目に映りました。

『どうしてあんなに扱いにくかった髪が、こんなにいい髪になったのだろう』私は

なんだか感激をしてしまいました。

書くのもお恥ずかしいようなことですがこんな小さな喜びが、日常を支えていること

に気づく自分に嬉しくなりました。

2022年10月1日   川口 翠