一人暮らしおばあちゃんの憂い

私が岸田首相のことを知ったのは偶然に、国会中継か何かでお顔がテレビの画面に映った時

でした。その時どうしたわけか私は、岸田首相のことを自分勝手に想像してしまって、その

イメージはずっと長く持ち続けてしまいました。当時岸田今日子さんという女優さんが活躍

していましたが、きっと親戚筋に違いない。顔立ちや品の良さに共通点があるもの。そして

お二人はきっと岸田國士という当時著名な劇作家の血縁ではないだろうか、などと。なんと

のんきな、失礼な勝手よがりでしよう。どうかお許しください。でも私は国会議員に文学者

系の方がいることがとても嬉しかったのです。事実はたしかに岸田今日子さんは、岸田國士

氏の次女だったけれど、岸田首相は無関係と知ったのは、割合最近のことでした。けれど

そんな思い込みは身につきまとうものなのか、岸田内閣という新政権ができた時は、今迄

とは違う世の中になるかもしれないという期待を持ちました。自民党という大政党の複雑

な力関係の中で、それなりに苦闘されている様子も察し、頑張ってほしいとも思いました。

 

しかし、安倍晋三元首相が凶弾に倒れたあと、まだ日も浅い中で突然に安倍元首相の国葬

を叫ばれた時は唖然としました。

そして突然のように原発回帰を提唱されました。粛々と方向性は進められているように

思います。

今自民党は、多分結党以来の困難に喘いでいます。自民党だけでなく、長いながい間、

自民党一党支配であったこの国そのものも、一つの分岐点にたっている筈です。

それも無視したような岸田首相の振舞は、深く考えることを放棄したように見えてなり

ません。私の思い過ごしでしょうか……。

2022年9月20日　　　川口　翠