2022/09/17 17:04
喜びは、足元からきました
朝10時電話のベルが鳴りました。懐かしい随筆の会のMさん。Mさんの声はいつも
より弾んでいきなり「昨日、会がありました。会報83号に私が投稿した『翠さん』が合
評される日だったのです。実は前にその文章を会報83号で読まれた新入会員の方が『翠
さんてどんな人だろう』とインターネットで探され『おばあちゃんの会計ソフト・『桐』・
わたしの独り言』というタイトルを見つけ、会員の皆さんに翠さんの文章をコピーして持
ってきてくださったのですよ。とても感動していらして。私もスマホで翠さんのブログが
読めることを教えて貰いました。全部読みました。とても面白くて。退会されてお会いす
るのが遠くなってしまったけれど、これで、もっともっと身近になれたようです。嬉しく
てたまらずお電話しました。おっしゃるように、自分の頭で考える、それが本当に大切な
のですね。私もそう思います。毎回必ず読みます。どうかぜひ頑張って書いてください
ね』私はMさんとの電話中、何度感謝の声をあげ、嬉しさの溜息をついたことか。懐か
しい会員の方々の顔が浮かびました。お顔も知らない新会員の方への感謝の気持ちが胸
一杯に溢れました。ほんとうにありがとうございました。
そもそも40年程も前のことになります。日曜の朝、テレビでは田原総一郎さんが活
躍なさっている場面でした。その中で『大蔵省の人から、日本には今500兆円の借金が
あるのをあなたは知っているか? と尋ねられた』という話から始まり、女性キャスター
の方が『そんなこと急に言われても。今迄何も教えてくれていなかったのに』と戸惑う
場面がありました。その時、はじめて私は日本の国はそんなに借金があるのだと知りま
した。それから40年位。あっという間に1000兆円近くの債務増加になったのですね。
その間『経済が先か』『財政が先か』などと政治では派手なキャッチフレーズが躍りな
がら、結局財政状態が好転することはなかったのですね。複式簿記会計では経済と財政
はどちらが先か、後かは問題ではなく、常に一体であることを結論づけています。私は
むずかしい勘定科目など知らなくても、パソコンに入力さえすればすべてOK。そんな
風潮が大きくなりだしてから、思い切って中小会社の会計ソフトを開発することを決心
しました。便利さだけを価値とするのではなく、自分の頭で考える過程を重視しました。
残念ながら、手作り製品の華麗さや、機械化されたスマートさ、などには遠く及ばない
野暮ったいものですが、勉強の土台にはなるのではないかと考えました。逆風に向か
っていることは最初から覚悟していました。逆風はまだまだ続くことでしょう。でも
経済一点張りの驀進。財政無視。そんな日本経済は一つのテストを終えたようにも思
えます。あまりにも多くのものを失い過ぎました。どうか多くの人が、知性高く、失
ったものを少しでも取り戻したい、政治より国民の方が早くと。そう願ってやみませ
ん。 2022年9月17日 川口 翠