2022/09/11 16:56
枯 渇 感
英国のエリザベス女王が逝去されてから、世界各国から多くの弔辞が寄せられ、テレビで映し出
されていました。どの国からのコメントも、短くても個性豊か。故人に対する哀惜と尊敬の情が
満ち溢れ、そして故人の面影を彷彿とさせるようで、さすがだなあと感じ入りました。
岸田首相のことばもありました。聞いた時はっとして思わずこんなことを考えてしまいました。
通りいっぺんと思われるのではないだろうか。きっと疲れていらっしゃるのだろうと。
首相率いる自民党は「世界平和統一家庭連合」や国葬問題などでどろどろの状態を暴露され、
一方、コロナ禍、円安問題、物価高騰等々で苦境にある日本政治の真っただ中で、首相は唯
一人で対応されているようにみえます。お疲れは十分お察しできるし、お体も心配します。
ですが半年にもなる激戦の中で発言されるゼレンスキーウクライナ大統領の、命がけの説得力、
加えて元タレントの面目も躍如。そんなメッセージが、どれほど支援国や、戦う国民を励まし
ているか、外交力になって国を救っているかと想像できます。私たちは学ぶべきではないで
しょうか。
今、世界の中で日本のすべての立位置が低下している現実はよく見せつけられます。国の立ち
位置の劣化はだんだんひどくなっていくようです。過去ノーベル賞に輝いたた先輩たちが『こ
のままでは、日本にノーベル賞はなくなる』と次々に警告をしておられました。まさにその通り
になりました。私たちは一体何を失ってこんなになったのでしょうか。私は『自分で考える力』
を失ってしまったのではないかと思います。代わりに排除とか、忖度とか、目に見える損得とか。
便利でありさえすればいいとか。手近にみえるものだけを追求して、目に見えない宝ものを失った、
そんな気がしてなりません。
2022年9月11日 川口 翠